修練

女優という職業に就くと決めたとき
両親は芸能関係者だったため
関係者の知人の方々に会わせてくれた。
ムーミンパパやトトロの声でとても有名な
故高木均さんは父が親しく
私たち3きょうだいが子供の頃からかわいがっていただいた。
後に私が81プロデュースという事務所にお世話になったときは
均さんもいらして
何度か現場でもお仕事をご一緒させていただいている。
均さんは、女優になるために何をしたらいいですか?と尋ねると
「太極拳がいいよ。太極拳はやったほうがいい」とおっしゃいました。
私はただの高校生だったので
太極拳はいいけど、もっと具体的な方法を教えてください、という感じだった。
でも今ではその意図がとてもよくわかる。
大学の演劇専攻へ進み、
最初の1年間は一言もセリフというものを言わせてもらえなかった。
舞台に立てないのはもちろんだが
実技の授業の中でもセリフは一言もしゃべらない。
演技はセリフを言ってなんぼと思っているから
本当になんでもいいからセリフで表現したくて仕方ないのだけど
1年生はひたすら野口体操という不恰好な(いえ、本当はとても美しいのだけど)体操と
リトミック、声楽、あとは座学をやり、
先輩たちの舞台の裏方に徹する。
でもその時期に学んだことは本当に莫大でかけがえがないものだ。
今はわかる。
催眠療法のセラピストになったとき
採用されてから半年間、仕事がなかった。
その間は研修期間なのだが
教わることはどうってことないマニュアルであって
独学と毎日1時間以上の瞑想が課せられていた。
収入がほとんどなくなってしまったので
菓子パンを2つくらいかじりながら泣く泣く勉強していた。
なんでこんなことしているんだろうと何度も嘆いたけれど
その時は他に道がなかった。
でもあれは本当に正しかったと思う。
人に伝えることができるものとは
内側に生まれ培ったものだけだと私は思う。
人生は魂が本当に願ったことがかなえられるが
かなえられる方法は人智を超えている。
魂の望む道を願い
今ここに与えられているものが最も神聖な答えだと知ることが
本当は最も豊かな生き方だと思う。

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